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君は今年も、都心から離れたこの町にやってくる。

君には縁もゆかりもなかったこの町に。

都心から電車に乗り、バスを乗り継いでやっとたどり着くこの町は、僕が生まれ育った田舎町だ。夜になれば暗闇が広がり、星空がうんと近い。今は夏だから、夜になればカエルの鳴き声が夜空に響く。たぶん、僕と出会わなければ君はこの町に来ることはなかったのだろう。

実家に着くと、君は僕の両親と楽しそうに会話をする。まだお昼の正午を過ぎたばかりだ。

「今日は暑いからすこし休んでいったらどう?」

「用事が済んだら帰るつもりなので、ごめんなさい。ありがとうございます。」

母の言葉に君はそう返した。名残惜しそうな僕の両親に別れを告げ、君は細い山道を登る。

「今年も暑いねえ。相変わらず、静かでいい町ね、あなた。」

そういいながら君は僕のお墓に花を添えた。

そしてまた、元いた街へ君は去っていった。
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公開:20/10/14 22:25

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