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私は鏡の前で髪を乾かしながら、学校でユウタと交わした会話を思い出していた。
「鏡とマジックミラーの見分け方知ってる?」
それを枕詞に、ユウタは自慢げに豆知識を語り始めた。
「鏡は厚いガラスの奥に薄い銀が塗られてるけど、マジックミラーは反射するフィルムをガラスの表面に張ってるんだ」
私は言ってる意味がよくわからず首をかしげた。
「で、どうやって見分けるの?」
ユウタは待ってましたとばかりに人差し指を目の前に差し出し「つまり」と続けた。
「指で触れた時に、映った指と本物の指の間に隙間があれば鏡だし、無ければマジックミラーだ」
——あれって本当かな?
ユウタはよく嘘をつく。今日言っていた事も嘘かもしれない。
目の前の鏡には髪の乾ききっていない私が映っている。私は鏡面に人差し指をそっと押し当て、横から覗いてみた。しかし、そこには隙間など無かった。
「なあんだ。またいつもの嘘か」
「鏡とマジックミラーの見分け方知ってる?」
それを枕詞に、ユウタは自慢げに豆知識を語り始めた。
「鏡は厚いガラスの奥に薄い銀が塗られてるけど、マジックミラーは反射するフィルムをガラスの表面に張ってるんだ」
私は言ってる意味がよくわからず首をかしげた。
「で、どうやって見分けるの?」
ユウタは待ってましたとばかりに人差し指を目の前に差し出し「つまり」と続けた。
「指で触れた時に、映った指と本物の指の間に隙間があれば鏡だし、無ければマジックミラーだ」
——あれって本当かな?
ユウタはよく嘘をつく。今日言っていた事も嘘かもしれない。
目の前の鏡には髪の乾ききっていない私が映っている。私は鏡面に人差し指をそっと押し当て、横から覗いてみた。しかし、そこには隙間など無かった。
「なあんだ。またいつもの嘘か」
ホラー
公開:20/10/14 12:14
更新:20/10/14 12:16
更新:20/10/14 12:16
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