ノック時報機の話

ワンルームマンションのドアホンは配線をはずしておいた。ピンポン音がうるさいからだ。
その代わりノック時報機を付けた。必要な時間帯のみ時報が聞きたいのだ。
目覚ましノッカーにも使えて便利だ。

ある日いつもと違うノック音が聞こえた。ドアホンで出ないと諦めて帰るのだが。
「警察署の方から来ました」
怪しい。ドアアイを覗くと胡散臭いやつがいる。放っておいた。
次の日も来た。今度は二人だ。
「警察署の方から来ました。開けて下さい」
「開けないと逮捕しますよ」
放っておくと段々強く叩く。
ノック時報機が働き出した。更に大きな音でドンドン鳴る。耳が痛くなるほどすごい音だ。

パトカーがやって来た。慌てふためく声がしたが警官の方が早かった。ノック音は消えた。
職質の後、二人が連行されて行くのが見えた。
誰かが警察に通報したのだろう。

昼だったが寝ることにした。朝まで起きてたから眠いのだ。