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白装束を着て、短刀を腹に当てる。
それを悪代官はニヤニヤしながら見ている。「介錯は必要ないぞ」と周りに言い放つ。
覚悟を決め、腹を切る。襲い来る激痛!私の中から何かが奪われる!
苦しむ私を見て悪代官は欠伸を一つかまし、立ち去ってしまった。
『…五郎様、もう大丈夫でございます』
背後に立つ侍が私にそっと耳打ちする。
私は短刀を先程切った腹ごと抜き取った。痛みは失せたが喪失感が増した。
『ご気分は如何ですか?』
「如何も何も、私には必要のない別腹を切り捨てただけの事。そして死人に口なし。私は何も語らぬ」
『はっ!失礼しました!』
侍は一歩引く。周りの者も私が見えていないかのように振舞う。
さて…行くか。
悪代官は私の姿を見て悲鳴を上げた。そんな悪代官を私は切り捨てた。

-かの悪代官は幽霊に切り殺された-

瓦版が舞い踊る中、別腹と身分を捨てた私は家族のもとに急ぐ。
余生は畑でも耕すとするか…
公開:20/10/11 19:10
更新:20/10/11 19:58

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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