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「え、言ってみたい言葉ですか?」
平日の午後。公園のベンチに座り込んで視線も上の空…
声を掛けてきた婦人には私が思い詰めた娘と重なったのだろうか。
「年寄の暇つぶしに付き合って」
「え…」突然で答えに詰る。
「平凡に生きてたら言えない言葉。お友達に聞いたら『俺に構わず行け』ですって」
男はバカねと付け足した。質問の意味が理解できた。
ある言葉がよぎる。
「ちなみに何かあるんですか?」ひとまず婦人に返す。
「そうねぇ。『これも何かの縁ですね』かしら」
心地いい風が木々を揺らす音。
着信音がかき消す。画面には上司の名前。
「あら、ごめんなさい。付き合ってくれてありがとう」
婦人は静かに立ち上がる。
「あの…『夢があるんで辞めます』…です」
着信音が鳴り止む。
「素敵。きっと言えるわ。私ゆかりと申します。貴方のお名前は?」
「わ、私もゆかりです!」
二人目を丸くした。
「これも何かの縁ですね」
平日の午後。公園のベンチに座り込んで視線も上の空…
声を掛けてきた婦人には私が思い詰めた娘と重なったのだろうか。
「年寄の暇つぶしに付き合って」
「え…」突然で答えに詰る。
「平凡に生きてたら言えない言葉。お友達に聞いたら『俺に構わず行け』ですって」
男はバカねと付け足した。質問の意味が理解できた。
ある言葉がよぎる。
「ちなみに何かあるんですか?」ひとまず婦人に返す。
「そうねぇ。『これも何かの縁ですね』かしら」
心地いい風が木々を揺らす音。
着信音がかき消す。画面には上司の名前。
「あら、ごめんなさい。付き合ってくれてありがとう」
婦人は静かに立ち上がる。
「あの…『夢があるんで辞めます』…です」
着信音が鳴り止む。
「素敵。きっと言えるわ。私ゆかりと申します。貴方のお名前は?」
「わ、私もゆかりです!」
二人目を丸くした。
「これも何かの縁ですね」
その他
公開:20/10/12 00:50
まずは自分が楽しむこと。
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