ばーちゃんとぱーちゃん

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窓辺の老人の眼鏡の色が南米の高原で見たコバルトブルーの花みたいで目が離せない。「ジロジロ見ないで!目はこうしてそらすの。じゃんけんぽん、あっちむいてホイ!」3歳で南米からこの老人ホームにやって来たアルパカは、こうして眼鏡の老人と出会った。老人の手をまねて耳を立てたり伏せたりしてチョキとグーができるようになったアルパカ。でもパーができない。えいっ!ひっくり返って脚をあげ真ん中から首をだしたらお婆さんが笑った。パーだね。それからは眼鏡ばーちゃん・アルパカパーちゃんと呼び合う仲になったが5年後ばーちゃんは亡くなった。

10年後、お婆さんになり老パカホームにいたアルパカのもとに獣長が人の赤ちゃんを連れてきた。じっとこちら見る赤ちゃんの広げる手がじゃんけんのパーみたいで皆パーちゃんと呼んだ。「じゃんけんぽん、あっちむいてホイ!」パーちゃんが指した指の向こうの窓辺にコバルトブルーの花が揺れている。
その他
公開:20/10/10 20:47
更新:20/10/11 05:20

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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