ハンドルを

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待合せ時間ぴったりの土曜午前9時。車の止まる音がしたので彩はアパートの外に出た。が、雄二の姿が見えない。
おはよう雄二~。どこ?
ここだよ。
え、どこなの?
ここだよー。
雄二の声のする車に近づいて中をのぞくと運転席のハンドルから赤い血がポタポタと流れ落ちている。キャー!!

彩が呼んだ救急車のおかげで幸い一命をとりとめた雄二は、後日警察で事情聴取を受けた。
-では、事件の前日からの行動を教えてください。
-はい。その晩、あまりに月が綺麗だったので誘われるように車にのり、そしてハンドルをきったんです。
-ハンドルをきった。
-はい。そうしたら、どうしてもそれをきてみたくなってしまって。
―え?ハンドルをきる?
―出来心です。はい。でもきてみたらとてもきつくて。出られなくなってしまって。でも大事な彩とのデートだから、ハンドルをきたまま彩のアパートまで行って。それからは記憶がありません。
その他
公開:20/10/10 23:28
更新:20/10/10 23:49

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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