新警官たち

Ａ市の警察署長は、自分の発案が図に当たったことを誇りに思っていた。”蛇の道は蛇”とばかりに、犯罪者たちを警官として採用し、捜査に当たらせたのだ。
新警官たちは、意気揚々として活動を開始した。逃げる立場から追う立場になるのだ。これほど楽しいことはない。
彼らは普通の警察官では気がつかない犯罪の臭いを感じ取り、次々と犯罪者を逮捕していく。
彼らの頑張りに、報奨金で報いたのも効果的だったかもしれない。
次々と悪者たちに手錠がかけられ、報奨金でふところが暖かくなった新警官たちは駅前の盛り場に繰り出した。
町に活気があふれた。雰囲気も明るくなり、おもわぬ経済効果を発揮したのも、嬉しい誤算だった。
Ａ市警察署は捕件数ナンバー１となり、全国にその名を轟かせることとなった。
ただ、ひとつの問題点といえば、逮捕されたのは新警官の同僚ばかりで……。