無情なお見舞い

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 少女の目には病室が映っている。
 病室のベッドの上には、点滴を繋がれた老人。肩で息をしており、顔面も蒼白。
 部屋の隅にある心電図モニターは、頼りない鼓動を響かせていた。
「スミレ、来てくれたのか。……皮肉なものだ。最後の見舞客がアンドロイドとは」
「はい」
 少女は無表情のまま機械的に頷いた。
「友人はいない。身内もいない。そんな私に生きる希望を与えてくれたのが君だった。今、こうして幸せな気持ちで死んでゆけるのも――」
 突然、病室に警告が鳴り響いた。老人が全身を震わせ白目をむく。
 駆けつけた看護師の処置も意味をなさなかった。
「す……すみ……」
 唐突だった。パソコンが強制終了するかのように、老人の動きが停止。心電図モニターの音も途絶えてしまった。
 少女は目を瞑り、両耳に手を当てて――

「よし! これでいい小説が書けそう!」
 VRゴーグルを外すと、執筆活動へ戻った。
SF
公開:20/10/09 21:23

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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