2
3

私の十歳の誕生日にそれは突然訪れた。何の前触れもなくその日以来、私には人の顔が銃に見えるようになった。家族も友人も道行く人も…皆の顔が銃に見える。
銃口から言葉を発し、銃口からご飯を食べる。とても奇妙な光景だ。
最初は凄く怖かった。銃口が私に向けられているんだ。怖くないわけがない。
でも、だんだんと慣れてきた。
だからかな?今、銀行強盗に銃を突きつけられても私は怖くなかった。
頭についた銃の大きさに比べれば、銀行強盗の持つ銃なんて玩具みたいなものだ。思わず笑ってしまう。
「何がおかしい!」
怒りをあらわにする銀行強盗に対し、私は指で銃を模して「バンッ!」を言い放つ。
銀行強盗が腹部から血を流し、倒れた。
人の顔が銃に見えるようになってから、私には不思議な力が宿った。
言霊…いや言弾というべきか。言葉を弾として銃のように口から撃てるようになった。
鏡を見れば私の銃口からは硝煙が上がっている。
SF
公開:20/10/09 19:15

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容