つながる未来

4
7

「健二のバカ!」

家に帰るなりベッドに倒れ込む。別れちゃおっかな……。元々何の縁もない他人同士。その関係に戻るだけ……。

「別れられては、困ります」

顔を上げると、知らない男。

「ど、泥棒!」
「違います、私は未来から来たんです」

壁を見ると、真っ黒な穴。

「私が世界で初めて開発した時空移動システムです。あなたが健二さんと別れると、私はおろか、このシステムも存在しなくなるんですよ」
「……ということは、あなた、私の」
「私の母の父方の叔母があなたです」
「……微妙」
「それでも未来は変わるんです!あなたは既に、未来の一部を担っているんです!」

狐につままれたような顔で男を見送った。何だか変な気分。もう未来にまで縁が繋がっているなんて……。


「うまくいったぞ」

未来へ帰る途中でほくそ笑む。ライバルのアイツは存在しなかったことになるはずだ。

これで世界初の開発者は、私だ。
SF
公開:20/10/10 13:20
更新:20/10/10 23:44

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容