NIGHT CAFE YUKARI

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取材旅行最後の夜。仲間と一緒にドンチャンで締める予定だったのが、二人とも体調崩してだんまり。俺は一人小汚い、カラフル・ネオン煌めく狭い路地を歩いていた。

「全然読めないよ」
アルファベットに毛が生えたような言語で、少しは発音の見当もつくが中学卒業以来無勉強の俺には厳しいものがある。

しばらく彷徨ってから、真正ABCでナイトカフェ・ユカリと書かれた看板を見つけた。普段なら一人で入ったりしないのが、外地で浮き足立っていた俺は暖簾をくぐり抜けた。

「こんにちは」
店主の女はどう見ても日本人だった。話を聞くと果たしてその通り。しかも、俺と同県の出身だった。
「へえ、どのへんに住んでたの」
驚いた。実家とツーブロックしか離れていない。
何故だか他の客もおらず、俺たちは話し明かした。

そんなわけで、俺はベトナムで日本語教師なんかやってるの。
懐かしいな、朝日放送なの?
奥さん? まだ寝てるよ。
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公開:20/10/14 07:04
更新:20/10/11 14:05
コンテスト

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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