花言葉の町

4
4

"それぞれの花に「花言葉」がある"

 老人の言葉はそれだけだった。それを聞いた者たちは、その言葉が意味することを考える。大抵は途中で思考を停止したが、結論が出るまで考え続けた者も数名いた。



 そのうちの一人は町の人々に「花は自身の代弁者となりうるもの」と説いた。直接言葉にしない奥ゆかしさを称え、花での意思疎通を推奨し、生花を育てるよう促したのである。
 しかしほとんどの人は花言葉を知らず、贈られた相手がその花に込められた意味に気が付かないことが度々あったため、花は必要な時に自らしゃべることができるよう改造されていった。
 こうして造られた花は、いわゆる布やプラスチックで作られた花と区別するために『電子花(エレクトリックフラワー)』と呼ばれるようになる。



 ──花言葉の町。
 そこは生花と造花が溢れる、色とりどりの花の町。
 そしてまたの名を、人の声が消えた町。
ファンタジー
公開:20/10/10 05:53
更新:20/10/10 12:33

久寓

(玖寓→久寓に変えました)

読むのが好きです。
書くのは好きだけど苦手です。

作品を読んでいただきありがとうございます。コメント等大変励みになっております。

1週間に1作品投稿を目標にしています。
(現在体調不良のため休み中)

▼Twitter
https://twitter.com/kuguu_

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容