今日も雨が降っている

教室の片隅から、グラウンドへ視線を向ける。ああ、今日も雨が降っている。また濡れていく。
それでも、泥だらけになりながらも走る彼の姿は、輝いて見えた。
彼に釘付けになっていると、ふと、彼がこちらを見て手を振った。にこやかに笑うその顔が、太陽に照らされて、更に輝いて。
雨が止んだ、気がした。
けれど、すぐに雲がまた覆ってしまう。

「やっほー！！」

隣で、一人のクラスメイトが手を降っている。視線は、彼に向けられて。そして彼の視線も、その子に向けられていた。
太陽に照らされたみたいに、きらきらとしているのは、その2人だけ。

(···ああ、やっぱり、今日も、雨だ)

今日も濡れていく。世界はこんなにも良い天気なのに。
私の頬だけが、毎日毎日濡れていく。
私の心の中にだけ、毎日毎日、雨が降っている。