あまのじゃくな座席

Ａ社の面接のある今日に限って寝坊をした。決めていたバスに乗り遅れて、次のバスに乗り、到着したらすぐ下りられるよう、料金支払い箱に近い座席に座っている。
「前の晩、もっと早く寝たらよかった」
「間に合わないかも」
「遅れたら、面接受けられないだろうなあ」
私はネガティブなことばかり考え続けた。
「次はＡ社前。お降りの方はお近くの押しボタンでお知らせください」
バスが予定より５分も早く到着した。そして、私は面接を無事受けることができた。

都会のバスが、予定時間より早く到着することはまずない。
そうか、うわさには聞いていたが、そうだったのか。あのとき、ポジティブなことを全く思わなかったのがよかったらしい。わざと人の言動に逆らうあまのじゃくが私の愚痴を聞いて願いをかなえてくれたようだ。
今朝、私が座ったのは、「あまのじゃくな座席」と呼ばれている座席。いつ、どこのバスで座れるのかわからない。