猫の手も借りれる、たぶん

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ごとり、と彼女は自分の首を台の上に置いた。腰ほどの位置から聞こえる声が何か言っているが聞こえづらく、顔を近づけると耳を噛まれた。「これは」
どんな利便性があるのか分からないが、随分扱いにくい身体なのでは?そう言いたかったけれども顔が近づきすぎて喋るのを躊躇した。
いい加減離してくれないか。
「あなた、自分の身体が利便性に富んでるとでも言いたいわけ?」
大きく吊り上がった目をぎょろりとさせ、赤いエナメルの唇で強い発音をした。耳についたであろう彼女のルージュを手の甲で拭う。
「ずっとそんな重いもの乗っけてたら肩も凝るでしょうに。それにこうしているときは殆どお喋りはしないの。あなたがあんまり間抜けな顔をなさるから普段気にかけもしないご自身のからだについて問うてみたのよ」
なるほど便利だ。
しかしよく喋る。
その他
公開:20/10/07 23:35

晴れ時々雨

普段Twitterにて140字小説を中心に書いています。ジャンルはないです。

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