親馬鹿なのです

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私の親は、親馬鹿だ。
私が欲しいものは、何でも買ってくれる。私がやりたいことは、何でもやらせてくれる。学校の送り迎えも当たり前。学校の友達は、みんな私を羨ましがる。
「いいなぁ、そんなに大事にされてて」
「うちなんて昨日も大喧嘩しちゃってさ〜」
けれど、私はそんなみんなが、羨ましい。
「あ、ねぇ!お迎え来てるよ!」
クラスメイトが窓の外を見ながら言った。視線を同じ方向へ移すと、私の両親が、人の良い顔でニコニコと笑っていた。
「優しそうな人達。本当にいいなぁ」
「···ごめん、もう帰るね」
鞄を手に取り、正門へ向かう。教室から見えた、人の良い顔が私を出迎えた。そのまま車に乗り込む。バタンと閉まる扉と、エンジン音に紛れて、声がする。

「これだけ甘やかしてるんだから、きっと、すっごく甘いだろうな」
「でも、もう少し甘やかしましょ。もっと甘い方が美味しいわ」

ああ、やっぱり、私の親は馬鹿だ。
ホラー
公開:20/10/09 15:16

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