書くということについて

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「一を語るためには、千を知る必要がある」
昔、誰かがそんなことを言った。
昨今のSNS事情なんか見ていると、皆、一の知識で千を語ろうと躍起になっているように思える。
かく言う僕も、ショートショートガーデンという四百字小説の投稿サイトで戯言を宣う者の一人だ。
たった四百字。語れることは知れているが、それでも書く。一体何のために書くのか、自問するたびに答はうつろう。
それは扉もない閉じられた部屋の中に、小さな窓を作るような作業だ。窓からはほんのわずかではあるが、世界の断片を覗き見ることができる。
そんな小窓を、いくつも、いくつも作っていく。

いつか、部屋は全面ガラス張りの、何もない透明な空間へと変化するだろう。
僕はそこから世界の姿を見定め、まだ誰も見たことがない、まったく新しい世界を作り出していけるかも知れない。
そんな希望を抱きながら、あるいは夢想しながら、ひとつずつ小窓を増やしていく。
その他
公開:20/10/13 07:00
更新:20/10/11 07:12

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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