ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

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訪れた恋人達は別れる運命になる…そんな噂を信じた自分が馬鹿みたい。
白い砂浜と青い空。そして今、目の前に広がる幻想的な世界。でもそれ以上に私を魅了するのは隣にいる彼。
あ、あそこで小魚を従えて優雅に泳いでいるのはイトマキエイね。その下にいるゴツいのは…ナポレオンフィッシュ!一度でいいからこの魚と泳いでみたかったんだ!
彼が私を先導する様に泳ぎだした。もしかして同じ気持ちなのかな?私の体は引かれる様にその後を追う。そう、まるで私達見えない何かで…。

で、それっきりよ。彼女との繋がりや関わり合いも無くなり自由の身だ。
近づけば運命の赤い糸が、その体に巻き取られてしまう…それがイトマキエイの名前の由来のひとつなわけだ。何の為の特性かって?巻き取った糸を漂わせ、近づいた小魚達を結ばせ繁殖させるんだ。体表のゴミとかを食べてくれる存在だしな。
でもまあ確かに…あの美しい珊瑚礁には魅了されたけどさ…。
ファンタジー
公開:20/10/08 23:38
更新:20/10/09 05:33

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