この広い世界に

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冷たい…。何か冷たいものが落ちてきた。
—昨日までとても暖かくてふかふかだったのに。どうしてなの。どうしてこんなに暗くて寒いところに…お腹すいた…

「あ…何だこれ…」
待って。お願い、連れていって。みんな一緒に…
「ああ、他はだめだ…可哀想に冷たくなって…こいつだけか…」
ふわりと体が宙に浮く。

「何それ。え、拾ったの?」
「うん、ほら途中の雑木林のとこで。他にもいたけど雨に打たれてもう…」
「…そっか。じゃあまず…」

ああ、ここは明るくて暖かい。
いいの?ミルク飲んでいいの?
私…ここにいていいの?

「もう突然でびっくり」
「だってこいつ、すげえ必死に鳴くんだよ。雨の中よちよちついてきてさ」
「見込まれたんだね、きっと」
「いつもは通らない道なのにな。今日に限って何となくさ」
「へえ…でもご縁ってそういうものなのかもね」
すやすやと眠る小さな仔猫を見つめ、二人はそっと微笑んだ。
その他
公開:20/10/08 22:05
更新:20/10/09 22:29
捨てられた子猫が鳴きながら ついてくる動画を見てしまった 縁コンテスト #1

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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