魅惑の···

あら、また来たの？つい昨日会ったばかりなのに···そんなに我慢できないのね、本当に悪い子。
···え？また値段が高くなってる？仕方ないでしょう。だって、そう決められちゃったんだもの。私が自分で決めてるわけじゃないのよ。文句があるならもう私に会いに来なければ良いだけの話よ。
···やだ！怒らないでよ。貴方が私から離れられないなんて、そんなこと良くわかってるんだから。何年貴方の相手をしてきたと思ってるの？
そう···もうあれから40年以上が経つのね。時が過ぎるのは本当に早いわ。···え？私は変わらない、ですって？そんなことないわ。私だって変わってきたのよ。まぁ、貴方ほど見た目に変化はないでしょうけどね。
···そんなことより、早く手に取って？ね、もう、待てないでしょ···？
私も···

「また値段上がったんか」
「はい。今月の初めから」
「はー···しかし、どうにも煙草はやめられんからなぁ」