12
8
都会に出稼ぎに出る子もいないような小さな村“ゆかり村”で、村特産の胡桃が栽培されていた。
ある日、観光客が村に訪れ、直売所で胡桃を齧った。
「故郷を思い出すような味だ…母さん、元気にしてるんかなぁ」
すると翌月、なんと家族ぐるみで村に移住し、胡桃を栽培したいと農家に懇願した。
又ある日、市長が視察で訪れた際、胡桃がふるまわれた。
すると翌週、特殊納税の返礼品として胡桃が猛プッシュされた。
又又ある日、政治家が選挙活動で訪れ、帰りに市内のデパートで胡桃料理を食べた。
すると翌日に、その秘書が買い付けにベンツに乗ってやってきて、大御所への手土産になった。
村ぐるみで栽培していたはずの胡桃は、気づけば市ぐるみ、国ぐるみで栽培され海外にも渡り、一部の発展途上国の貴重な食糧源にもなって国民の飢えを支えている。
こうして村では名前もなかった胡桃は“縁胡桃”の愛称をもらい、今も世界中で愛されている。
ある日、観光客が村に訪れ、直売所で胡桃を齧った。
「故郷を思い出すような味だ…母さん、元気にしてるんかなぁ」
すると翌月、なんと家族ぐるみで村に移住し、胡桃を栽培したいと農家に懇願した。
又ある日、市長が視察で訪れた際、胡桃がふるまわれた。
すると翌週、特殊納税の返礼品として胡桃が猛プッシュされた。
又又ある日、政治家が選挙活動で訪れ、帰りに市内のデパートで胡桃料理を食べた。
すると翌日に、その秘書が買い付けにベンツに乗ってやってきて、大御所への手土産になった。
村ぐるみで栽培していたはずの胡桃は、気づけば市ぐるみ、国ぐるみで栽培され海外にも渡り、一部の発展途上国の貴重な食糧源にもなって国民の飢えを支えている。
こうして村では名前もなかった胡桃は“縁胡桃”の愛称をもらい、今も世界中で愛されている。
公開:20/10/07 18:00
更新:20/10/07 00:36
更新:20/10/07 00:36
縁
ゆかり
胡桃
くるみ
まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから
お立ち寄りいただきありがとうございます
ふらりと交流できれば幸いです
▼NOVEL DAYS
https://novel.daysneo.com/author/j_mano37/
▼入選作品
・J-WAVE SPARK×NOVELDAYS ほっこりショートコンテスト第1弾「モノのつぶやき」
「子に捧ぐ祈り」
ログインするとコメントを投稿できます