縁結び

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 彼女には縁がなかった。無論、男性との縁である。
 あまりにも出会いに恵まれなかった彼女は、藁にも縋る思いで、縁結びの神社へ向かった。
「カッコいい男の人と付き合いたいです!」
 切実な思いが通じたのだろうか。後日、行きつけのカフェの店員に話しかけられた。
「よくここに来られますよね」
 切れ長の目に、ひょうたん型の顔。平安時代なら、もてはやされるに違いない。しかし、現代基準で考えると、決して顔がいいとは思えなかった。
 彼女は足を踏み鳴らし、再び神社へ乗り込んだ。
「時代にあった人と付き合いたいんです!」
 翌朝、彼女は全身に感じる重みで目が覚めた。
「なにこれ……。まるで鉄の服でも着せられているみたい」
 何とか起き上がり鏡を見る。直後、彼女は両手で顔を覆った。
 鏡には泣き崩れたひょうたん型の顔。そして、朝日に照らされ黄昏色に煌めく、十二単が映りこんでいた。
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公開:20/10/06 19:52

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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