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私は母のお腹の中にいた頃から記憶がある。すぐ隣には妹。二人で産まれて来る日を待ち侘びていた。でも私は産まれる事が出来なかった…
ある日、妹の体が崩れ始めた。誰にもそれを止める事が出来ない。だから私は妹に体を譲った。姉だもの。妹を守るのは当然よ。
そうして妹は産まれ、私は消えるはずだった。
神様の粋な計らいだろうか?私は妹の脳を間借りする事で意識だけ生き残った。
妹は何かあるとすぐに私に問いかける。もう一人の自分、なんて思っているみたいだけど私は貴方の姉だよ。そんな妹と共に私は生きている。

妹は大人になり、もうすぐ母になる。その頃の私は胎児とよく話していた。
胎児が「外に出たくない」なんて引きこもり宣言をするものだから「外の世界は素晴らしいよ」と教えてあげる。心優しい胎児は私が一人ぼっちになるのではないかと心配してくれているようだ。
大丈夫。私はいつでも君とママの傍にいるから寂しくないよ。
公開:20/10/06 19:47
これも縁の一つの形?

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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