7日目の宣言

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7日目。動物は歩みを止め、植物は背筋を伸ばし、山は揺らぎを留め、海は波を緩めた。
皆、神様のお告げを聞かんと持つ耳を傾けた。
「ここに世界創生を宣言する」
一同、その体を震わすと世界中でどよめきが起こった。鳴りやまない歓声を抑えると、神様は続けた。
「世界に疑問のある者はいるか」
すると、唯一の人間アダムが尋ねた。
「神様。どうして私はこんな身体なのですか」
神様は慈悲深い表情で応えた。
「我のまだ若かりし頃は主と同じ身体であったが、天界で生きるのにこの身では不便だと気付き、己で己の身を再構築した。だが、その結果がこの様じゃ。主には衰える知能、脆い骨格。そして限りある命のまま、自身を大事にしてほしいのだ」
そう応えた神様は、巨大な頭を8つ、柔軟な手足を16本、鉄より硬い鱗の胴体に、寿命のない臓器を持った、なんとも形容しがたい姿をしていた。

人間は神様に“似せられて”創られてはいなかった。
公開:20/10/08 20:00
更新:20/10/07 23:38
天地創造 七日間

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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