キッチンで愛を

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キッチンで皿洗いをしているとするりと足を撫でる気配を感じた。娘がおやつをねだりに来たのだと思って、「ちょっと待って」と声をかけた。
「ママ何?」
娘がテーブルの影から顔を出す。
「今、こっち来なかった?」
「行ってないよー」
そう言って、パズルを盛大に床にぶちまけた。
私は溜め息を娘に見えないように付いて、娘の方へ歩いていく。
「これやるのー!」
娘が最近はまっている自動車のパズルを一緒に並べる。
「ばあばの家に車で行く!ワンワンと遊ぶ!」
ずっと祖父母の家に遊びに行けない不満を口を尖らせて言う。
「そうだねぇ」
そんな事を話していた数日後、母から電話がかかってきた。
「クッキーね、二日前の朝方死んだの。お父さんと私の間で眠るようにね。今ねぇ、お父さんと、あなたが撮ったクッキーの写真見てたの」
キッチンで足元に感じる柔らかな熱を思いながら、母と電話で話す娘の頭を撫でた。
その他
公開:20/10/07 19:45
更新:20/10/08 03:59
ほぼ実話 自分の為に書きました m(__)m

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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