老舗のハンバーグ定食

　出張。

　年の離れた兄貴が、学生時代を過ごした街。

｢へぇ～、いい街だな～｣

　商談も程なく終わり、何となく、導かれるように、老舗の定食屋さんへ。昼のピーク時も過ぎ、落ち着いていた。

｢はい、いらっしゃい♪｣
｢ハンバーグ定食、ごはん大盛りでお願いします♪｣
｢あいよ～♪｣

　感じのいい老夫婦のお店。

　本棚を見ると、ゲストノートがギッシリ！　兄貴が過ごした年代のを、パラパラめくっていると、あった！　兄貴の名前！

『弟が大きくなったら、ここのハンバーグ定食を食べさせてやりたい！　きっと弟は、ごはん大盛りで、おかわりもしますよ～(笑)♪』

｢はい、お待せいたしました～、ハンバーグ定食です♪　おかわりして下さいね♪｣
｢ありがとうございます、頂きます♪｣

　兄貴の青春の味。お肉の旨味ぎっしり、肉汁ジュワ～！

｢兄貴、美味し過ぎたよ……♪｣

　もうすぐ、兄貴の七回忌。