書き慣らす

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店主である俺が言うのもなんだがウチで取り扱っている文房具は一級品揃いだ。
だからこそそれを扱う者も一級品であれと思っている。二級品の客?そんな奴は叩き出すに決まっている!

今日、店にやってきたのはどこにでもいるような女子学生。またウチの文房具に見合わない奴がやって来たな…
「あの…これ試し書きさせて下さい」
そう言ってペンを取るとさらさらと紙に何かを書き始めた。
おお…良い音色だ。ペンも楽器と同じように書き慣らしが必要だ。分かってるね嬢ちゃん。
その音がどんどん激しくなる。腹の奥に響く音…いいじゃねぇか…
ペンが奏でる音楽に俺は酔いしれた。
「これ、凄く良いですね!このペンください!」
勿論だ!音楽は一日にして鳴らず。これからもそのペンでどんどん書き鳴らしてくれ!
俺は音楽学校に通うその子に文房具を売った。
一級品の客だ。きっとウチの顧客になる。

そんな出来事を俺は文豪具に刻み付けた。
公開:20/10/07 19:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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