祖父の手紙
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祖父の家を取り壊すことになり最後の片付けに向かった。
「もう持ち出す物ないわね」納戸部屋から母の声。私は縁側で祖母の鏡台の埃を払った。
祖父とは疎遠で思い出はほとんどない。覚えているのは絵を描いてもらったことくらいで、幼い私は漫画のような可愛い絵をねだって祖父を困らせた。
祖父はよく人に絵を送り、残されたスケッチブックは膨大な量だった。そのうち一冊は私の絵ばかりで自然と私の物になった。
「こんなの残ってた」母は葉書を私に見せた。葉書に小さな手形が押されている。
「あんたが生まれたの知らせた葉書よ」
「ちゃんと手紙書けばいいのに」
「だってお祖父ちゃん読み書き苦手だったから」
それで苦労したのよと母は言いながら葉書をしまった。
家に帰って押し入れからスケッチブックを出した。
もしかしたら、これは祖父からの手紙だったのかもしれない。
幸せそうに眠る赤子の私は、あるはずのない四葉を握っていた。
「もう持ち出す物ないわね」納戸部屋から母の声。私は縁側で祖母の鏡台の埃を払った。
祖父とは疎遠で思い出はほとんどない。覚えているのは絵を描いてもらったことくらいで、幼い私は漫画のような可愛い絵をねだって祖父を困らせた。
祖父はよく人に絵を送り、残されたスケッチブックは膨大な量だった。そのうち一冊は私の絵ばかりで自然と私の物になった。
「こんなの残ってた」母は葉書を私に見せた。葉書に小さな手形が押されている。
「あんたが生まれたの知らせた葉書よ」
「ちゃんと手紙書けばいいのに」
「だってお祖父ちゃん読み書き苦手だったから」
それで苦労したのよと母は言いながら葉書をしまった。
家に帰って押し入れからスケッチブックを出した。
もしかしたら、これは祖父からの手紙だったのかもしれない。
幸せそうに眠る赤子の私は、あるはずのない四葉を握っていた。
その他
公開:20/10/07 19:04
縁
とりあえず書いてみた
ボケ防止にショートショートを作ります
第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。
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