心は曇り後晴れ

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曇っていた
外に出たくなかった
誰とも関わらず過ごしたかった
友達がアイスの差し入れを持ってきたけれど「ごめん」と返した
心配した友達が遊びに誘ってくれたけれど、面倒で断りを入れた

そうして友達は一人また一人と減っていった
だけど悲しくなかった
だって曇っているのだから
一人がいいのだから

パソコンをつけて一人動画を眺める
楽しいはずなのに、曇ったままだった
景色もずっと同じまま
もうこの世界にも飽きたな、と思い始めた頃
彼女は突然現れた

彼女は私の部屋にズカズカ上がり、カーテンを思い切り開けた

眩しくて思わず目を閉じた

光を背に、彼女は私を見つめる

「出かけようよ、篭ってないでさ」

彼女は私の手を引く

外に出ると心地よい風が吹いていた

「ね?大丈夫でしょ?」

友達が繋いだ手を握り直して言った

瞬間、頬が緩んだ

なんだ、晴れてたのか

雲ひとつない青空が広がっていた
その他
公開:20/10/04 13:49

紀奈子

ふと感じたこと、昔の思い出などを元に、日常のちょっとした事などを書いたりします。
拙い文章ではありますが、もし1人でも共感してくださる方がおられたら嬉しいです。
完全に自己満足の趣味なので、色々大目に見てやってください。
それにしてもアレですね、400文字に収めるって結構至難の業ですね。

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