糸電球

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発明王、エジソンが京都の竹をフィラメントに使い、白熱電球を開発したのは有名な話だよね。
実は、白熱電球を応用して「糸電球」という代物もエジソンは作っていたんだ。
音声を伝達させる糸電話をヒントに、フィラメントを細長く加工して糸状の電球にし、相手に自分の気持ちを伝える信号を送れるようにしたのさ。
よく「運命の赤い糸」っていうけれど、あれは糸電球が赤く光っているんだよ。
糸電球の輝きが眩しいほど、運命の赤い糸で結ばれようとする情熱も凄まじいものなんだ。
だから時々、熱すぎて糸電球がショートしてしまい、運命の赤い糸が焼け焦げ、切れてしまうことがある。それは恋の火遊びっていうもので、命運が尽きたのさ。
ただ、最近の糸電球はLEDが増えてきて、熱を感じなくなってしまった。それで、運命の赤い糸も光り輝くことがなくなった。
でも、心配しなくていいよ。見えない糸で結ばれているから。それがご縁というものさ。
その他
公開:20/10/04 07:08
エジソン 京都 フィラメント 白熱電球 電球 糸電話 運命の赤い糸 ご縁

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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