星見る男

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 ベランダから星が見える。星がある、ということに、なぜかひどく安心した。
 履いていたサンダルを脱ぎ、ベランダから部屋に入る。そレから、窓を閉めると、私はため息をついた。
 テレビの電源をつけた。だが、その音をうるさく感じたので、すぐに切った。
 本棚からいくつか本を取り、ソファに座って、ペラペラとめくった。読んだ先から忘れていった。文字を追うことがこんなに苦痛だとは、本を買った時の私は思わなかっただろう。
 冷蔵庫からハムを取り出し、食べてみた。細かくなったハムが、口の中のあちこちに散らばった。それを牛乳で流し込んだ。ハムを食べても、牛乳を飲んでも、私の思考は動かなかった。空っぽだった。
 私はもう一度、星を見ようかと思ったが、もう四回も見たのだからよしたほうがいいだろうと思い、浴室へ向かった。
その他
公開:20/10/04 02:21

杉将

基本的に、無、です。

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