運の良い話

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カランコロン、カラン

「やあ、お嬢さん、お一人ですか」
「ええ」
「良かったら僕と飲みませんか。勿論、お代は僕が持ちましょう」
「まあ、本当」
「ははは、こう見えてお金持ちなんでね」
「そんな風には見えないわ」
「そうかもしれないね。実際、数日前まではホームレスだったからね。でも、急に運が向いて来たんだ。先日、道で拾った落し物を交番に届けたら持ち主からお礼だと言って僕に一億円をくれたり、正直なあなたに私の娘を結婚させたいなんて言い出してね」
「まあ、運が良いのね。でも、運が良いと言えば私もなのよ」
「どんな事?」
「実はね。私、こう見えて悪魔教の信者なの。十年前に私が目を付けて可愛がって育てていた生贄が気付いたら逃げ出したのだけれど、偶然にも今日見つかったわ。本当に私は運が良いわ」
「もしかして、それって」
「そう、あなたよ」
公開:20/10/04 21:32

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