満月に願いを
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男が眉間に皺を寄せカードを並べる。
『喫茶月見草ー満月ナイト』というポスターと男を不安げに見た。
「持田さん、俺は鏡子さんの代打で来た占い師だ」
「五千円しか払えませんけど」
「五千円ポッキリだ」
質問シートに選んだカードを乗せる。
「結婚出来るか、だな」
持田は一枚のエコー写真を出した。
「何だよこれ」
「妻のお腹の赤ちゃんです。僕、三人の占い師に死相が出てるって言われて。持病もあるし、子供の成長が見られるか心配で」
「馬鹿かてめえ。先ずは無事産まれるように奥さんのフォローだろうが」
「ですよね、本当に馬鹿です僕は」
「あん?」
ドアが開き月を背に鏡子が立っていた。
「五朗ちゃん、一人で何してんの。頼んだの明日だけど」
鏡子が質問シートを見て溜め息を付く。
「半世紀も前の話よ」
「は?」
「月の残像みたいなもんね」
鏡子はそう言って五朗の肩を叩いた。
『喫茶月見草ー満月ナイト』というポスターと男を不安げに見た。
「持田さん、俺は鏡子さんの代打で来た占い師だ」
「五千円しか払えませんけど」
「五千円ポッキリだ」
質問シートに選んだカードを乗せる。
「結婚出来るか、だな」
持田は一枚のエコー写真を出した。
「何だよこれ」
「妻のお腹の赤ちゃんです。僕、三人の占い師に死相が出てるって言われて。持病もあるし、子供の成長が見られるか心配で」
「馬鹿かてめえ。先ずは無事産まれるように奥さんのフォローだろうが」
「ですよね、本当に馬鹿です僕は」
「あん?」
ドアが開き月を背に鏡子が立っていた。
「五朗ちゃん、一人で何してんの。頼んだの明日だけど」
鏡子が質問シートを見て溜め息を付く。
「半世紀も前の話よ」
「は?」
「月の残像みたいなもんね」
鏡子はそう言って五朗の肩を叩いた。
ファンタジー
公開:20/10/02 22:03
喫茶月見草
満月ナイト
「縁」
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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