終末とさきがけ

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隕石の衝突が三日後に迫った今日、花が咲いた。
それも全部だ。桜に紫陽花に朝顔に向日葵に竜胆に、本当に全部の花が咲いた。
次の日は動物の日だった。ミミズが土から這い出してセミが鳴いて鈴虫も鳴いた。
昨日さなぎになった芋虫が蝶になって飛んだ。孔雀は目一杯鮮やかな尾を広げる。ライオンがシマウマを追いかける。マグロは泳ぐことをやめない。
大昔の大量絶滅では恐竜や巨大な森、たくさんの生き物が絶滅したらしい。
でも、どこかで細々と暮らしていた哺乳類が生き残って今の我々に進化したのだ。
きっとその時も今日と一緒だったんだろう。みんな必死に生きようとしていた。だから誰かが生き残る。
次の日、人々は歌っていた。それぞれ違う歌を違うリズムで違うメロディーでそして同じハーモニーで歌っていた。
風に舞う花びらには全ての色があった。
地と海と空で蠢き続ける命には全ての音があった。
「光あれ」
次の日、光があった。
SF
公開:20/10/01 21:45

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