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祖母の部屋で遺品を整理していたとき、私はそれを見つけた。
小さな可愛らしい《鍵》だ。
ひきだしより小さな、小物入れかなにかの鍵に思われた。
私は、祖母の部屋で鍵の相方を探してみることにした。
それが大好きな祖母からの最後のメッセージであるような気がしたからだ。

とはいえ祖母の部屋にはほとんど物が無かった。
贅沢をしない祖母は、とにかく物を持ちたがらなかった。
「あの世にはなにも持って行けないからね」
そう口癖のように言っていたのを思い出す。

結局、部屋からはなにも見つからなかった。

やがて私は祖母と同じくらいの歳になり
同じように最期のときを迎えた。
「この鍵の謎は孫に託そう」
そう願って鍵を隠したとき――私は気がついた。

祖母も同じだったのだと。

祖母から私へ、私から孫へ。
こうして受け継いでいくのだと。

私が本当のメッセージを理解すると、
呼応するように鍵がキラリと輝いた。
ファンタジー
公開:20/10/01 21:43

UBEBE

おっさんになりましたが、夢は追い続けます

「小説は短く、人生は永く」

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