母の得意料理

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「はい。どうぞ」
子ども食堂で料理人をしている私は母の得意料理だったゆかりご飯を出す。
子供達は待ってましたと言わんばかりにお茶碗に盛られたご飯を胃袋に流し込んでいく。食べた先から『おかわり!』の大合唱。凄く嬉しい。
だけど「おかずも残さず食べるのよ」と、注意しておく。食事は栄養バランスが大切だ。
私が母から受け継いだゆかりご飯は赤しそを意味するゆかりではない。縁を意味するゆかりだ。
実は私も子供の頃に両親を亡くし、子ども食堂のお世話になっていた。
そこで働く母と呼ばれる人は本当に皆の母のようで凄く優しかった。
憧れから彼女の手伝いをするようになった私も今では立派な母である。
私は今日も愛がたっぷり籠った親子の縁をご飯を混ぜ込む。これを食べた子供達はもう私の子も同然だ。
そして厨房に立つ娘達は心を掴む縁ご飯の作り方を必死に覚えている。
彼氏を夫にする為なんだって。娘も立派な母になりそうだ。
公開:20/10/01 19:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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