やる気入れ

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仕事から帰ると妻が玄関で空気入れのような物を持って待ち構えていた。もしかしてそれって…
「おかえりなさい。あなた、やっと買えたわよ。やる気入れ」
やっぱりそうか!早速使っていい?
「勿論。さ、後ろ向いて」
僕はネクタイとワイシャツを緩め、妻にうなじを差し出した。
「それじゃ、行くわよ」
ぷすっ!と何かが刺さる感覚とともに、僕の体からやる気が抜けていく。肩の力が抜け、完全にリラックス状態だ。
「どう?もう少しやる気抜く?」
いや…いい感じに抜けたからこのくらいでいいよ。子供はお風呂まだだよね?一緒に入ってくるよ。
「ありがと。その間に晩酌の用意もしておくから」
やる気入れにはやる気抜きもついている。やっぱりあると便利だなぁ…

翌朝、子供が私のうなじにやる気入れを刺し、しゅこしゅこと必死にやる気を注入してくれる。
頑張れ!って気持ちが体中を駆け巡る。
やる気入れのおかげで今日も頑張れそうだ。
公開:20/10/01 19:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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