満月ナイト
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満月と新月の夜だけ現れるという占い師の噂を耳にした。満月のようにふくよかな女性と、繊細な三日月のような女性が月に一度ずつ、夕方から深夜まで「喫茶月見草」というカフェで占いをしているらしい。
千咲は誰にも相談出来ない悩みがあった。誰かに話したら、何かが変わってしまう気がして怖かった。そんな千咲に廻り合わせかのように、会社の先輩から渡されたのが「満月ナイト」のチケットだった。
「千咲さん、私の代わりに行かない?用事が出来てしまって。占いに興味がなかったら、お茶だけして帰っても良いからさ」
親しくしている先輩がいつもと違って押しが強かったから、つい受け取ってしまった。
満月の微笑みの占い師は、タロットカードを引く時、「大事な人を思い浮かべてみて」と言った。カードを切るみたいに、次々と色んな顔がシャッフルされる。
先輩が付き合ってる人だなんて知らなかった。満ちた想いはあとはもう欠けていくだけ。
千咲は誰にも相談出来ない悩みがあった。誰かに話したら、何かが変わってしまう気がして怖かった。そんな千咲に廻り合わせかのように、会社の先輩から渡されたのが「満月ナイト」のチケットだった。
「千咲さん、私の代わりに行かない?用事が出来てしまって。占いに興味がなかったら、お茶だけして帰っても良いからさ」
親しくしている先輩がいつもと違って押しが強かったから、つい受け取ってしまった。
満月の微笑みの占い師は、タロットカードを引く時、「大事な人を思い浮かべてみて」と言った。カードを切るみたいに、次々と色んな顔がシャッフルされる。
先輩が付き合ってる人だなんて知らなかった。満ちた想いはあとはもう欠けていくだけ。
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公開:20/10/01 17:25
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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