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落ち着いたバーで芹香と飲んでいた。真夜中だった。芹香はスティールブルーのヨークシャーテリア。親しい仲になって十日ほど。いい感じで互いの感触を確かめあう頃だ。
「あのね、以前に付き合っていた人がいるの」「飼われていたのか」「ベッドでいつも一緒に寝ていたけれど」「俺の知っている男か?」「・・・・」
俺は芹香の長い毛を撫でた。硬い感触だった。
カウンターの向こうに立っているバーテンダーと目があった。真剣なうすら笑いをして視線を動かさない。そうだったのか。俺は経緯を理解した。
バーテンダーは近づいてきて拳銃をごとりと俺の前に置いた。
「今日は満月です。近くの河原まで来てください」そう言うと彼は自分の上着の陰から拳銃をちらつかせた。
俺は目の前の拳銃に触った。冷たい金属の感触。
思い出した。何十年も前のこと。同じようなこんな満月の夜に河原で俺は誰かを刺したのだった。冷たい冷たいナイフで。
「あのね、以前に付き合っていた人がいるの」「飼われていたのか」「ベッドでいつも一緒に寝ていたけれど」「俺の知っている男か?」「・・・・」
俺は芹香の長い毛を撫でた。硬い感触だった。
カウンターの向こうに立っているバーテンダーと目があった。真剣なうすら笑いをして視線を動かさない。そうだったのか。俺は経緯を理解した。
バーテンダーは近づいてきて拳銃をごとりと俺の前に置いた。
「今日は満月です。近くの河原まで来てください」そう言うと彼は自分の上着の陰から拳銃をちらつかせた。
俺は目の前の拳銃に触った。冷たい金属の感触。
思い出した。何十年も前のこと。同じようなこんな満月の夜に河原で俺は誰かを刺したのだった。冷たい冷たいナイフで。
その他
公開:20/10/01 14:50
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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