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中秋の名月ーー。夜空を眺めながらススキを飾って供えたお月見団子を食べようと、ベランダに出た。
すると、何かがぴょんぴょん跳ねている。よく見れば丸々した小さな兎だった。どこから入りこんだのだろうかと不思議に思いながら抱きあげてみると、もちもちした触り心地で、体毛も生えておらず肌が柔らかい。
その兎は、愛くるしい眼差しでこちらを見つめながら膨らんだり縮んだりして大変かわいらしい。
今度は突然、平安時代のお姫様のような少女が目の前に現れた。
「あら、こんなところに逃げてきていたの。すみません。餅兎の飼い主のかぐやと申します。見つけてくださってありがとうございました」
(餅兎? かぐや?)
いろいろ思いをめぐらしていたら、瞬く間に兎と少女は空に浮かび上がり、月のある方へと高速で移動して消え去った。
夢でもみていたのだろうかと月を眺めると、先ほどの兎と少女が楽しそうに餅つきをしている姿が映っていた。
ファンタジー
公開:20/10/02 19:33
中秋の名月 夜空 ススキ お月見団子 ベランダ 平安時代 お姫様 少女 かぐや

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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