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老人は奇妙な光景を見ていた。
夫婦と思われる男女が、幼児を模した地蔵にひたすら謝罪を繰り返している。
「ごめんね…ごめんね…」
水子供養に訪れた夫婦だということはすぐに察することができた。けれど、老人が見ていたのは夫婦の謝罪などではなかった。
「ごめんね…」
跪く夫婦の背後で5歳くらいの男の子が立っている。
「ごめんね…」
男の子に表情はなく、何かをブツブツを呟いている。
「すまない…」
男が涙ぐみ、女を抱き締める姿を見てもなお――男の子はブツブツと何かを呟き続けていた。
「生んであげられなくて…ごめんね」
女がむせび泣きながら顔を両手で覆う。そして、次の瞬間――老人は、ただ偶然居合わせただけの老人は――夫婦の背後に立つ男の子の声を聞いた。なぜか、聞こえてしまった…。
「おまえらはぜったいにゆるさない。どんなりゆうがあったとしても、ぼくはおまえらに殺されたんだから……」
夫婦と思われる男女が、幼児を模した地蔵にひたすら謝罪を繰り返している。
「ごめんね…ごめんね…」
水子供養に訪れた夫婦だということはすぐに察することができた。けれど、老人が見ていたのは夫婦の謝罪などではなかった。
「ごめんね…」
跪く夫婦の背後で5歳くらいの男の子が立っている。
「ごめんね…」
男の子に表情はなく、何かをブツブツを呟いている。
「すまない…」
男が涙ぐみ、女を抱き締める姿を見てもなお――男の子はブツブツと何かを呟き続けていた。
「生んであげられなくて…ごめんね」
女がむせび泣きながら顔を両手で覆う。そして、次の瞬間――老人は、ただ偶然居合わせただけの老人は――夫婦の背後に立つ男の子の声を聞いた。なぜか、聞こえてしまった…。
「おまえらはぜったいにゆるさない。どんなりゆうがあったとしても、ぼくはおまえらに殺されたんだから……」
ホラー
公開:20/09/29 23:28
まあまあの出来とネタでした
seesでも怖いと思う
ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。
楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
https://plaza.rakuten.co.jp/gomishi14/
よろしければ、ぜひ。そして、たまに呟きます。
https://twitter.com/IiSees
さて、今日はどんな事件が起きることやら……。
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