ぼたんの鍋
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サークルの後輩が用意した鍋の前で俺は呆然としていた。味噌ベースのスープでグツグツと煮えているのはボタンだ。
シャツを着るときとかに使う、あれだ。
「……これって」
「はぁ、ボタンの鍋です」
「……そのボタン、掛け違えてるぞ」
牡丹鍋といったら猪肉を用いた鍋料理のことだ。薄切りにした猪肉を牡丹の花に似せて盛り付けることに因んだ名称らしい。
まぁ確かに元から名前を知らなければ連想しづらいとは思うけれど、まさか食べ物ではないボタンを鍋に入れるとは。
「これどうすんだよ、先輩来ちゃうぞ」
「え、でも先輩からボタンの鍋を用意しておけって連絡が」
「それ牡丹鍋のことだよ! 猪の肉を使った鍋をそう呼ぶんだよお」
「そんなの知らないっすよ」
ピンポーン、と部屋の呼び鈴が鳴る。
先輩だ。
「わりぃ遅くなった!」
扉を開いて現れた先輩の腕には鮮やかなピンク色の牡丹の花が抱えられていた。
シャツを着るときとかに使う、あれだ。
「……これって」
「はぁ、ボタンの鍋です」
「……そのボタン、掛け違えてるぞ」
牡丹鍋といったら猪肉を用いた鍋料理のことだ。薄切りにした猪肉を牡丹の花に似せて盛り付けることに因んだ名称らしい。
まぁ確かに元から名前を知らなければ連想しづらいとは思うけれど、まさか食べ物ではないボタンを鍋に入れるとは。
「これどうすんだよ、先輩来ちゃうぞ」
「え、でも先輩からボタンの鍋を用意しておけって連絡が」
「それ牡丹鍋のことだよ! 猪の肉を使った鍋をそう呼ぶんだよお」
「そんなの知らないっすよ」
ピンポーン、と部屋の呼び鈴が鳴る。
先輩だ。
「わりぃ遅くなった!」
扉を開いて現れた先輩の腕には鮮やかなピンク色の牡丹の花が抱えられていた。
その他
公開:20/09/29 21:42
平成元年生まれ、最近はショートショートあまり書いていませんでした汗
ログインできてよかったぁ…
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