キャンプファイア
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高校の文化祭最終日にキャンプファイアをする。一学年が十クラスあり一つのクラスがおよそ四十人。それが三学年分、千二百人が二列の輪を作り巨大な炎の周りで踊る。ジンギスカン、マイムマイム、フォークダンス。謎の伝統らしい。
「佐倉は人数足りないから男子の列な」
友人の佐倉は背が高いせいか、男子の列に回された。もう少しで佐倉の好きな男子の番だった。
「ここだけ、私代わってあげるよ」
友達の為だったが、次の相手が着ぐるみを着た誰かだったせいでもある。演劇部から借りてきて悪ふざけで着ているのだろう。これで相手しなくて済むと思ったのに、あろうことか着ぐるみが女子の列に並んでいる。私が躊躇しているとぬっと黒い毛だらけの手を出してくる。
「誰よ、あなた」
聞いても答えず、妙に温かい手でくるりと私を回転させた。リアルな眼に揺れる炎が見える。
「・・・・・・」
「え、何て?」
ヒュッと花火が上がった。
「佐倉は人数足りないから男子の列な」
友人の佐倉は背が高いせいか、男子の列に回された。もう少しで佐倉の好きな男子の番だった。
「ここだけ、私代わってあげるよ」
友達の為だったが、次の相手が着ぐるみを着た誰かだったせいでもある。演劇部から借りてきて悪ふざけで着ているのだろう。これで相手しなくて済むと思ったのに、あろうことか着ぐるみが女子の列に並んでいる。私が躊躇しているとぬっと黒い毛だらけの手を出してくる。
「誰よ、あなた」
聞いても答えず、妙に温かい手でくるりと私を回転させた。リアルな眼に揺れる炎が見える。
「・・・・・・」
「え、何て?」
ヒュッと花火が上がった。
青春
公開:20/09/29 20:03
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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