トンデケリング

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幼なじみで親友のメイは、小学生の頃からある指輪をつけてた。
それは「トンデケリング」といって、つけるとあらゆるものを投げて飛ばす力が増幅するの。
メイは、小学校の紙飛行機大会では毎年優勝してたし、中学高校時代はやり投げの日本代表に選抜されてた。
メイは、とにかくみんなにチヤホヤされてた。それが羨ましくて、悔しくもあった。
わたしも、トンデケリングが欲しかった。
でもウチはそんなに裕福じゃなかったから、買ってもらえるわけもなくって。
それでも、いつかメイみたいになりたいってずっと思ってたの。
そんな学生時代だったけど、今はもうすっかり大人になって、大切な人もできた。
彼はわたしにプロポーズしてくれて、指輪もくれた。それはトンデケリングじゃなかったけど、すごく嬉しかった。
「マーマー。ころんだー」
そうそう、4歳の息子もいるの。
「あら、ころんだの。いたかったねえ。いたいのいたいのとんでけ。」
ファンタジー
公開:20/09/30 20:01
更新:20/09/30 19:47

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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