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『都会ではスイカで買い物ができる』
両親からそう聞かされた時、私は度肝を抜かされた。
そんな馬鹿な…と言ったら『今度、都会に連れてっちゃる』と約束してくれた。

約束通り、私は両親に連れられ都会へとやって来た。
父も母も慣れた風にレジでスイカをかざしては買い物をしていく。
「お客様、残高が足りないようですが…」と言われても焦らない。別のスイカを差し出して会計を済ましていく。
農作業ばかりしている田舎臭い両親だと思っていたが私よりずっと進んでいた。

家に帰ると両親は買ったものを私に押し付け、支払いに使ったスイカを倉庫へと運んでいく。
「それ、どうするの?」
私の質問に母が小さなスイカを切って寄越してきた。
見ればそのスイカ、中に種が入っていないではないか!
『スイカの残高って、中に入っている種の数だから全部使い切ったら種なしスイカになるの』
今日も大量の種なしスイカが出来た。と、父は笑う。
公開:20/09/30 19:01

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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