タイムセーラー

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「時は金なり」
その価値観の崩壊が起こった。

2945年、時空拡張ドームが竣工した。
この時すでにプロジェクトが発足した頃の記憶は、資料としてしか知り得ないほどの時間が流れていた。
ブラックホールの原理を応用し、空間を歪め、時空圧を適切な数値で保持することに成功したドーム内は、
人間の個体を分解しないままに外界との時間の流れを無視する。
その結果、病気の進行もなく、どんな人でもドーム内では無限の時間を手にすることができる。
ドームへの入場権利は常人では手が出ないほどの金額で契約取引が行われていたが、
竣工当時一部の資産家による即決購入が相次いだ。

だが、数百年経ったドームに利用者は当初の見込みを大幅に下回った。
有益な活用法を提示なかった政府や財閥の落ち度はドーム開放当時スクープになったが、
「有限の時間」に対する人々の関心の方が、世界的に浸透したからだろう。
公開:20/10/15 18:00
更新:20/09/28 20:38

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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