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「やっぱり暑いわね。午前中に来ればよかったわ」
花の茎を切りながら母が言う。
「仕方ないよ、夏だもん」
私は照りつける太陽を見上げて言った。
ふと気がつくと、少し離れた所に若い男性が立っていた。いつの間に来たのだろう。私は彼の服装が気になった。こんな暑い日に学生服で、しかもカーキ色なんて珍しい。真夏の暑さにも関わらず、彼は汗をかいている様子もなく、ただ小高い丘の下に広がる街を見ていた。優しくもあり寂しげでもあるその眼差しが印象的だった。
両親は彼に全く気づいていないのか、せっせと掃除している。
「ほら、見てごらんよ。この人、お父さんの伯父さん。戦争で亡くなったんだ。18歳って本当に若かったんだな」
父が指した墓石には名前と年齢が刻み込まれていた。
その瞬間、私はあの彼を探したが、もうその姿はなかった。
「そういえば、今日は終戦記念日だね」
父がそう言うと、蝉の鳴き声が大きく響いた。
花の茎を切りながら母が言う。
「仕方ないよ、夏だもん」
私は照りつける太陽を見上げて言った。
ふと気がつくと、少し離れた所に若い男性が立っていた。いつの間に来たのだろう。私は彼の服装が気になった。こんな暑い日に学生服で、しかもカーキ色なんて珍しい。真夏の暑さにも関わらず、彼は汗をかいている様子もなく、ただ小高い丘の下に広がる街を見ていた。優しくもあり寂しげでもあるその眼差しが印象的だった。
両親は彼に全く気づいていないのか、せっせと掃除している。
「ほら、見てごらんよ。この人、お父さんの伯父さん。戦争で亡くなったんだ。18歳って本当に若かったんだな」
父が指した墓石には名前と年齢が刻み込まれていた。
その瞬間、私はあの彼を探したが、もうその姿はなかった。
「そういえば、今日は終戦記念日だね」
父がそう言うと、蝉の鳴き声が大きく響いた。
ファンタジー
公開:20/09/29 19:58
2020年9月から書き始めています。
いつかの作家デビューを目指して、とにかくあらゆるジャンルのものを書いていきますので、お読みいただければ幸いです。
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