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ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。のんびりと人もまばらなお昼過ぎの下り電車。赤ちゃんが突然泣き出した。
えーん!えーん!!えーん!!!
声はどんどん大きくなり、いよいよとどまるところを知らないが、母親は優しく抱き上げ落ち着いてあやし続けている。すごいな母親って。「もう手におえーん!」ってならないんだな。ところで赤ちゃん、なんで泣いてるんだろう。「電車がちえーん!」いやいや、ちゃんと定時運行してますよ。「じゃがいもが固くてにえーん!」って、それはむしろお母さんの叫びか。
あのー、すみません。
女性の声にハッとする。赤ちゃんが足をバタつかせて靴が脱げてしまったようだ。僕はそれを拾って履かせてあげた。お母さんの膝の上の赤ちゃんの小さな足に陽が射してむちむちと美味しそうで、実際、柔らかくてあたたかかった。じーっと僕の方を見る赤ちゃん。
ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。えーんにかわって、電車の音が戻ってきた。
えーん!えーん!!えーん!!!
声はどんどん大きくなり、いよいよとどまるところを知らないが、母親は優しく抱き上げ落ち着いてあやし続けている。すごいな母親って。「もう手におえーん!」ってならないんだな。ところで赤ちゃん、なんで泣いてるんだろう。「電車がちえーん!」いやいや、ちゃんと定時運行してますよ。「じゃがいもが固くてにえーん!」って、それはむしろお母さんの叫びか。
あのー、すみません。
女性の声にハッとする。赤ちゃんが足をバタつかせて靴が脱げてしまったようだ。僕はそれを拾って履かせてあげた。お母さんの膝の上の赤ちゃんの小さな足に陽が射してむちむちと美味しそうで、実際、柔らかくてあたたかかった。じーっと僕の方を見る赤ちゃん。
ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。えーんにかわって、電車の音が戻ってきた。
その他
公開:20/12/02 06:54
更新:20/12/02 07:02
更新:20/12/02 07:02
初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
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