夕暮れ自動販売機

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放課後。俺は屋上で一人煙草を吸っていた。
「隣いいか?」声をかけてきたのは生徒指導の教師。
俺は急いで煙草を消そうとして「別にいいぞ。俺も学生時代ここで吸っていた」と意外な過去を告げられた。
「ここで一人で吸う煙草。美味いんだよな」
教師は俺に缶珈琲を差し出した。受け取り、一口飲む。
うまっ!何この珈琲?
「それはな、この学校の七不思議の一つ、夕暮れ自動販売機で買った珈琲だ。俺の青春の味だぞ」
教師も煙草に火を点ける。
「どうしようもない不良だった俺を当時の生徒指導の先生が真っ当にしてくれたんだ。その珈琲もその先生が教えてくれたんだぞ」
意外な話だった。
「どうだ?お前も教師を目指さないか?そしたらその珈琲の買い方教えてやるよ」
悪い笑みを浮かべる教師に親近感がわいた。
そうして俺は教師になった。
夕暮れ自動販売機の場所も教えてもらった。
それを知りたいか?じゃ、お前も教師を目指すんだな。
青春
公開:20/12/01 19:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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